バートン・フィンク

d0105153_1305218.jpg 薄暗く長い廊下、ベロンとめくれる壁紙、映画のラッシュフイルム、燃え上がる安ホテル、すべてが地獄の入口に見えるコーエン兄弟の異色作。

 ニューヨークで注目されている新鋭の舞台作家バートン・フィンクは、ハリウッドからC級レスリング映画の脚本を依頼される。映画会社のオフィス、社長、ロスの蒸し暑さ、すべてに居心地の悪さを感じながらも、エージェントのすすめで仕方なく契約することに。依頼された映画は中身のないZ級の作品なのだが、これがどうしてなかなか書けない。悩めば悩むほどイメージが遠のいていく。そしてだんだんとタイプライターに挟み込まれた白紙や、ホテルの部屋の壁がフィンクを追いつめる。切羽詰まった彼は空想の世界へと逃げ込むようになり、現実と幻想の境目がなくなっていく…。

 この作品を観ていると、どこからどこまでが本当なのか分からなくなる。しかしこれは私たちの住む世界も同じこと。現実だと思っていることもファジーな機能を持つ脳を通しており、すべての出来事は脚色されたフィクションだといえる。
 そういう意味で『バートン・フィンク』は、一見幻想的でありながらリアルに人の頭の中を描いた作品。
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by ichio1970 | 2007-02-16 13:01 | 1980
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