ノスフェラトゥ

d0105153_233431100.jpg ヴェルナー・ヘルツォーク & クラウス・キンスキーの変人コンビが唯一無ニのドラキュラ像をつくり上げたゴシックホラー。オリジナルは20年代にF.W.ムルナウによって撮られた『吸血鬼ノスフェラトゥ』。
 本編に行く前にまず、ポポル・ヴーによる不気味な曲をバックにミイラが映し出されるオープニングで異境の世界に連れて行かれる。何の説明もないこの映像だけで、ヨーロッパ深部に眠る呪われた歴史が呼び起こされるのがヒシヒシと伝わってくる。

 ドラキュラ伯爵は家を売りに遠路はるばるやって来たジョナサンの妻ルーシーを見て一目惚れ。彼はジョナサンの血を吸ったあと、ルーシーを求め城を出たため、ヨーロッパ全土にベストが大蔓延。そしてジョナサンは妻を守るために命からがら町に戻るが…。

 ここでのドラキュラは、ハマー映画が作り上げた‘黒マントの紳士ドラキュラ伯爵’とはほど遠い、病的で醜い初老の男。彼が寂れた古城に佇む姿、ペストで荒れ果てた町を彷徨う姿、イザベル・アジャーニ演じるルーシーを息を呑んで見つめる姿、どれもが不気味で哀しく、そして美しい。
 この静かで深みのある退廃美はヨーロッパ人でないと絶対に描けない。
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by ichio1970 | 2007-02-19 23:35 | 1970
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