カテゴリ:2000( 5 )

デス・プルーフ IN グラインドハウス

d0105153_21515282.jpg 映画として優れているのかどうか、おもしろいのかどうか正直判断つかないが、作中の世界に‘異様な熱’を感じることのできる久々のタランティーノ印作品。
 『パルプ・フィクション』以降どうも乗り切れい作品がつづき、『レザボア・ドッグス』と『パルプ・フィクション』がたまたまだったんじゃないの?という気がしないでもなかっただけに嬉しい誤算。
 今作はカート・ラッセル扮する世界一情けないサイコキラー‘スタント・マイク’を筆頭に魅力あるキャラクターが登場するほか、まったく意味のないバカトークも満載で、ここのところうっとうしくなっていたタランティーノの映画オタクぶりが味つけにおさまっているところがいい。
 ファンの間ではガールズトークの評価が高かったりするが、個人的にはそれ自体におもしろさはあまり感じない。それよりも、そんなアホな会話をしている裏でストーリーが進んでいることにおかしさを感じる。要するにドリフのコントで‘志村、うしろうしろ!’と叫ぶあの心境。『キル・ビル』にはこのトンマさが欠けていた。
 前半と後半で作品のテイストがコロッと変わってしまうところもナイス。前半丸ごと使ったネタふりが後半活きている。これだけ思いきったことのできるタランティーノって、やっぱり凄い。
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by ichio1970 | 2008-04-03 21:52 | 2000

28日後…

d0105153_13472319.jpg ダニー・ボイルが挑戦したゾンビ映画。
 『トレインスポッティング』のせいでスタイリッシュな映画を撮る監督というイメージがつき、中途半端な作品を撮り続けていた彼だが、ゾンビというキッチュな素材を手にして本来のチカラを発揮した。
 この作品のエラいのは‘怖いゾンビ映画’を撮ろうとしているところ。当時のゾンビ映画は熱心なファンをターゲットにしたフェイクや安易なパロディに逃げている作品が多かったため、ゾンビが怖いことに新鮮さを感じるという珍現象が起こった。
 彼はゾンビを恐ろしくするために‘走るゾンビ’を登場させ往年のファンからブーイングを喰らったが、個人的には画期的な発明だと思う。(走るゾンビはその後リメイク版『ドーン・オブ・ザ・デッド』で極められる)

 また、この作品に登場する無人化したロンドンの造形が素晴らしい!退廃した大都市をマッドマックス的でもブレードランナー的でもない視点で描いたことはもっと評価されるべき。(同じく誰もいなくなったニューヨークを舞台にした『アイ・アム・レジェンド』がどのような都市像を描いているのか見てみたい)

 よく出来た作品だけれど、ゾンビの存在感がないのが残念。
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by ichio1970 | 2008-01-11 13:48 | 2000

ゾディアック

d0105153_15454229.jpg 60年代後半から70年代にかけてアメリカで実際に起きた連続殺人事件 ゾディアック事件を描いた、デヴィッド・フィンチャーによるサスペンス映画。
 フィンチャーには『セブン』以来、傑作とお仕事モード作品(それでも大抵の映画よりおもしろい)を繰り返す‘フィンチャーの法則’というものがあり、順番からするとこの作品は傑作になるはずだったのだが結果は……やっぱり傑作だった!
 
 この作品がおもしろいのは、迷宮入りした犯人捜しをするミステリーではなく、事件に巻き込まれて壊れていく新聞記者・刑事・漫画家に焦点を当てているところ。謎解きの魔力に取り憑かれ、人生を狂わせていく様がじっくりみっちり描かれている。
 フィンチャーはあくまでも事実をベースにしながら、娯楽映画としてもおもしろい作品に仕上げている。確実に次のステージに上がりました。
 それとハリス・サヴィデスの撮影が素晴らしい。この人は『エレファント』でヤ透明感のある狂気ユと呼びたくなる映像美を描き出していたが、今作では一転70年代の作品のような ささくれ立ったテイストを表現している。フィンチャーと共に彼も今後の活動が楽しみ。
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by ichio1970 | 2007-12-08 15:46 | 2000

アメリカン・サイコ

d0105153_16292250.jpg ブレット・イーストン・エリスの同名小説の映画化。原作は、ねらいは分かるものの小説としての面白さにつながっておらず、ガッカリした覚えがある。
 それに比べこの作品は原作のエッセンスを残しつつ、まったく別物の作品としてつくり上げたところがクレバー。映画が原作を超えた珍しいケースといえる。
 
 主人公パトリック・ベイトマンは、若くして高級マンションに住み、ブランド品で身を包む会社役員。しかし、ホントのところは仕事など一切せず、同じような境遇のエグゼクティブと毎日遊びほうけているだけ。しかししかし、ホントのホントの彼の正体は身の毛もよだつ連続殺人者というお話。

 ジャンルとしてはサイコ・サスペンスになるんでしょうが、内容は完全にコメディ。80年代のバブル景気に浮かれていたヤッピーと、この映画がつくられた当時量産されていたサイコ物を茶化している。名刺バトルや、ヒューイ・ルイスのウンチクを披露しながら知り合いを殺すシーンはサイコではなくサイコー。メアリー・ハロンという監督、なかなかやります。
 美術も秀逸。キャラクターや世界観を登場人物に説明させるのではなく、彼らを取り巻く環境に語らせている。
 それと主人公を演じるクリスチャン・ベールが滅法うまい。役柄というよりも、この作品の意図を完璧に理解して演じているのがひしひしと伝わってくる。派手さはないけど、いい役者。
 
 すごく優れた作品ではあるものの、つくられたタイミングが若干ズレていた。もう少し早い時期につくられていたら、もっと評価されていたはず。
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by ichio1970 | 2007-10-15 16:30 | 2000

エレファント

d0105153_16433167.jpg 『グッド・ウィル・ハンティング』『小説家を見つけたら』で路線を変えて‘やっぱりアンタも…’とガッカリさせられ、『サイコ』のリメイクで完全に終わったと思っていたガス・ヴァン・サントが見事に復活した入魂の一作。

 舞台はアメリカのとある高校の、ある一日。ここに通う生徒たちはいつもと同じように登校する。そんな中、アレックスとその友人のエリックはネットで購入したショットガンを持って学校へと向かう。

 劇的なストーリー展開や演出を敢えて排し、事件が起こるまでの僅かな時間を淡々と描くことで、現代社会の日常に潜む狂気をあぶり出している。
 そして技術的にも、事件が起こるまでの生徒それぞれの時間を重ね合わせる構成や、カメラを視線化した擬似ドキュメンタリータッチなどが、この作品が90年代以降のものであることをはっきり と示している。
 演出と共にハリス・サヴィデスのカメラも光る。
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by ichio1970 | 2007-05-18 16:47 | 2000