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ポンヌフの恋人

d0105153_1446111.jpg 大学生の頃初めてこの映画を観たときはピンと来るものがなく、自分とは無縁の映画だと思いつづけて15年。
 それが2、3年前に『マッドマックス2』や『ブレードランナー』『アキラ』などに連なる汚れた都市像を描いたデストピアムービーとして大復活!
 あの朽ち果てたポンヌフ橋には間違いなくデストピアの魅力が刻み込まれている。映画の設定では橋以外の場所(パリ)は普通の街なみなんでしょうが、どことなく世界中が崩壊したように思えてくる。
 それにアレックスの顔と動きが『マッドマックス2』に出てくるウェズ以上にこわれていて、より世紀末感が強くなっている。
 なかなかへヴィな都市造形です。

 もともと恋愛モノに興味がないせいか、物語自体はまったく理解できない。突然橋の上で踊り出すわ、人を焼き殺すわ、橋から突き落とすわ、この人たち何をやってるんでしょうか。
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by ichio1970 | 2008-06-04 14:48 | 1990

ホーリー・マウンテン

d0105153_1428126.jpg キング・オブ・奇才、アレハンドロ・ホドロフスキーによるヘニョヘニョでグニョグニョな濃厚世界。
 聖典やコーラン、仏典、さまざまな民俗(族)学への問題意識がベースになっている異色の社会派作品!と言いたいところだが、主人公である救世主がTバックを履かされて市中引き回しにされたり、肛門丸出しでゴシゴシ洗われたり、ウンコを燃やしたカプセルに閉じこめられたりするシーンを延々見せられると、小難しい問題意識なんてどうでもよくなってくる。
 はっきりいって何が言いたいのか分からない。でも、ホドロフスキーがつくり出した強烈な映像とそこから生まれるイメージは意識の奥深くに染み込んで、ちょっとやそっとでは忘れられなくなる。
 グロいシーンの連発で途中から疲れてくるが、ラストシーンを見ると妙にスッキリした気分になる。
 ホドロフスキーが本作の後撮った作品は『サンタ・サングレ 聖なる血』のみ。まぁこんな作品をつくってしまったら、他につくりたいものなんかなくなってしまうような気がする。

 ところでホドロフスキーはこの作品の後、大作『砂の惑星』のメガフォンをとることになったのだが、結局プロデューサーとモメて降板。最後に「オレ様を誰だと思ってるんだ、ホドロフスキー様だぞ!!」と吐き捨てて姿を消したとか。彼の後監督をまかされたデヴィッド・リンチは四苦八苦しながらも無事完成させた。オトナである。
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by ichio1970 | 2008-04-09 14:28 | 1970

戦場のメリークリスマス

d0105153_20141715.jpg 成島東一郎のカメラ、坂本龍一の音楽、出演者の(ぎこちない)演技が相まって摩訶不思議な世界を描き出している異色作。(個人的にはフェイバリットのひとつ)
 舞台となるジャワ島の日本軍捕虜収容所とそこでうごめく人の中には、生と死、西洋と東洋、過去と現在、組織と個人、友情と愛など相反する要素が渦巻いており、登場人物の心だけでなく観る者の心もジリジリとあぶる。
 そのせいかだんだん感覚が麻痺してきて、ヨノイやセリアズがどこへ行こうとしているのか、映画としてどう決着するのかが読めなくなってくる。
 脚本の構成はすごく図式的なのに、登場人物の心の揺れや収容所が持つ魔力が感じられるのは、やはり大島渚の演出力のせいだろうか。いや、それはこの映画のために集まったキャストとスタッフの間に起こったマジックのせいだろう。
 まぁ、そんなことをウダウダ考えて観るよりも、ただ映画に身を任せて観る方が‘どこか別の場所’に連れていってくれる。
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by ichio1970 | 2008-02-06 20:14 | 1980

ワイルド・パーティー

d0105153_1124633.jpg 青春、音楽、エロ、サイコ、サスペンスなど、さまざまな映画のエッセンスをこれでもかいうくらい盛り込んだ、奇才ラス・メイヤーによるオール・イン・ワンな作品。
 ひとつひとつの要素は明らかに落第点(というか滅茶苦茶)なのに、そんなことお構いなしに‘うりゃ〜’とブチ込んだら傑作になったのはラス・メイヤーの才能なのか単なる偶然なのか、それは謎。
 しかし、ヒロインが登場する女の子の中でいちばんのブサイクで、セックスしまくり、おまけに意味のないシーンで見たくもないオッパイを出すのは明らかに狙い。要するにデカパイが出ていれば万事OKというワケ。
 とはいっても画のセンスと編集技術はさすが。決めのカットは逐一カッコいいし、ラストの追跡シーンは迂闊にもハラハラしてしまう。
 Zマンの正体が明らかになった時など驚きを超えて、ポッカ〜ンです。

 それにしても何でこんな映画を20世紀フォックスが配給したのか、それが最大の謎。
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by ichio1970 | 2008-01-16 11:25 | 1970

デッドマン

d0105153_16332787.jpg ジム・ジャームッシュ&ジョニー・デップという異色コンビによる、ロード&トリップムービー。

 仕事を求めて西部の田舎町に辿り着いた会計士 ブレイクが行きがかりで人を殺してしまい、殺し屋から追われる羽目に。途中、摩訶不思議なネイティブ・アメリカンの男に助けられ行動を共にするようになるが、追っ手は徐々に迫り…と、ストーリーはいたって単純。

 しかし内容が普通じゃない。とにかく最初から最後まで‘死’であふれかえっている。冒頭のブレイクが乗る汽車から不吉な空気が充満しており、町に着いていきなり目に飛び込んでくるのは棺桶の山。そして、ジョン・ハート扮する工場長が登場すると一気にストレンジ・ワールドへ突入。そしてその後は人が死んで死んで死にまくる。みんな、いとも簡単に殺したり殺されたりするため、だんだん目の前で繰り広げられていることが理解できなくなってくる。さらに全編に流れるニール・ヤングのギターが深いトリップへ引き込む。
 そんな中、ハッと我に返るのが、傷を負ったブレイクが死んだ子鹿を抱くシーン。死を悟ることではじてめ生を感じるという、何とも悲しく そして美しい映像美。

あと、この作品の序盤には蒸気機関車や工場なんかが出てきて、スチームパンク的なテイストがあったりしておもしろい。
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by ichio1970 | 2007-12-28 16:34 | 1990

猿の惑星

d0105153_12361144.jpg SF映画の最高作でありながら、一時はお正月になると時間つぶしのために放送される便利ムービーに落ちぶれていた過去を持つ。
 日本で本来のポジションを取り戻したのは、コーネリアスこと小山田クンの功績が大きい。
 この作品の最大の見せ場はラストなのだが、DVDのパッケージで堂々とネタばらしをしているので(パッケージの監修したの 浜村純?!)、ここでも少し触れることをお許しいただきたい。

 『猿の惑星』が素晴らしいのは、‘んなアホな!’という世界を観客に突っ込まれながらも最後まで見せてしまうパワーを持っていること。タイトルバックのド級にチープな宇宙空間や村にしか見えない猿の国も全然アリ。これは脚本・演出・役者が良い仕事をしている証拠。
 世の中に嫌気がさして宇宙旅行に出たテイラーだからこそ、ラストの叫びに重みが出てくるというもの。こういう人物描写って、最近のハリウッド映画に欠けている。
 あと、観る者の感情を完全にコントロールしてしまう ジェリー・ゴールドスミスによる音楽がとんでもなく素晴らしい。川口探検隊が使うのもうなずける。

 そういえば、猿の惑星にいる猿って英語を喋ってるんですね。テイラーと同じく、まったく気づきませんでした。
 興味のある方は、この後ダラダラつづくシリーズ作に手を出してみるのもなかなかオツ。
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by ichio1970 | 2007-12-04 12:38 | 1960

アイズ・ワイド・シャット

d0105153_1759221.jpg  トム・クルーズ×ニコール・キッドマン夫妻(当時)が夫婦役で出演し、オールヌードでF○CKシーンまで披露した話題作。そして、スタンリー・キューブリックの遺作。
 巷の評価はイマイチなようだが、かなりの力作。いや傑作といっていい。

 金持ち相手にうまくやっている内科医ビルはある晩、妻から‘見知らぬ水兵さんに本気でF○CKされたいと思った’と告白され動揺する。
 F○CK!とばかりに夜の街を彷徨っているうちに、あれよあれよと大富豪が集う謎の仮面乱交パーティーに侵入することに…。

 この映画が凄いのは、人物描写でも、役者の演技でも、乱交パーティーの描写でもない。これらははっきりいってイマイチ。(でも、乱交パーティーのオープニング儀式は妙に印象に残ります)
 弛緩した時間感覚、これがこの作品を特別なものにしているすべて。設定ではほんの僅かな時間を描いただけなのに、ものすごく長い出来事を見せられているような気がし、さらに途中から映画を観はじめてどれくらい時間が経ったりか分からなくり、こっちまで謎の空間に迷い込んでしまった感覚に襲われる。

 で、最後はニコール・キッドマンの「F○CKしましょ♪」というセリフであっけなく終わる。
 これがキューブリックの意図によるものなのか、それともただ単にお歳でユルくなっていただけなのかは謎のまま。F○CK!
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by ichio1970 | 2007-08-10 17:59 | 1990

地獄の黙示録

d0105153_1759556.jpg 完全に壊れた映画。戦争の狂気ではなく、この映画に携わった人たちの狂気がフィルムに刷り込まれたスペクタクル巨編。
 ジョン・ミリアスによる脚本の初稿は、ジャングルで帝国を作り上げたカーツ大佐をウィラード大尉がドンパチの末退治してめでたしめでたしという、戦争バンザイな冒険活劇だった。それに何か意味深なテイストを出してみたいと思ったのがコッポラの悲劇のはじまり。
 相次ぐキャストの変更。決まったキャストはみんなヘベレケ状態。(マーチン・シーンは過酷な環境のせいで心臓発作であわやあっちの世界へ。デニス・ホッパーはドラッグであっちの世界へ逃避行。マーロン・ブランドはみんながアッと驚く肥満ぶりを披露したと思ったら、脚本を無視して意味不明な言葉であっちの世界と交信)
 さらに相次ぐトラブル、決まらないストーリー、予算オーバー、映画会社からのプレッシャーなどにより、コッポラ自身がオーバーヒート。そして、「私が死んだらミリアスが、ミリアスが死んだらルーカスがこの作品を完成させなければならない」という有名なセリフを吐く。その意気込みには拍手をおくりたいが、言われた人は迷惑極まりない。

 この作品の魅力はストーリーでも戦闘シーンでもなく、小型ボートで川を遡りつづけ、次第にグニャグニャと歪みはじめる時間感覚。そして奇妙なエピソードやキャラクターが花を添え、ここがどこで、いつから映画を観ているのか分からなくなる。(作品のつくりもドアーズの「ジ・エンド」からはじまり、タイトル表示で終わるという歪みっぷり)
 これは作品はコッポラのいい加減さと脳天気さが生んだ偶然の傑作。
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by ichio1970 | 2007-07-06 17:58 | 1970

建築家の腹

d0105153_18354389.jpg いまいちブレイクできず尻すぼみ状態にあるピーター・グリーナウェイの作品の中でも地味で目立たない作品。
 グリーナウェイ特有のケレン味ある演出を抑え、分かりやすいドラマとして撮ったことがその原因。しかし、グリーナウェイ作品であることを意識せず観るとすんなり楽しめる。

 建築家のクラックライトは敬愛する建築家ブーレの展覧会監修のために、妻と共にローマを訪れる。ところが彼は到着して間もなく激しい腹痛におそわれるようになる。その頃妻はローマで知り合った若い男と浮気を重ね、妊娠する。謎の腹痛と嫉妬で精神的混乱に陥ったクラックライトは次第に死に取り憑かれていく…。

 「死と誕生」という二元的なテーマを際だたせるため、左右対称の風景を多用したり、クラックライトの出っ張った腹と妻のスリムな腹を対比させたり、彼らしいクドい演出があるが、それはご愛敬レベル。それよりもラストに行き着くまでのユルい時間を楽しむのが正解。
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by ichio1970 | 2007-06-19 18:36 | 1980

御法度

d0105153_214248.jpg 大島渚の目下最新作。世間的には評価が低いようだが、なかなかどうして面白い。全編に漂う閉鎖感と登場人物間の緊迫感がグイグイと物語の世界へ引き込む。
 到底妖しい美男子には見えない(怪しい少年には見える)松田龍平を筆頭に、ほとんどの役者は滑舌が悪く棒読みで何を言っているのか聞き取れなくて最初はイライラするが、不思議と途中から愛すべきキャラクターに変身する。
 浅野忠信は他の作品では見たことのない男の色気を発散しているし、武田真治の沖田総司も新鮮。最後のたどたどしい長台詞のシーンなど、かわいく思えてくる。
 また、冷え切った京都の夜に青白い情念の炎が漂っているような雰囲気は、近年量産されているJホラーよりも怪談的なオーラを生み出していて怖い。意図せずにこんな映画を撮る大島監督はやはり凄い。(この作品は新撰組を描いたもので、所謂ホラー映画ではありません。念のため)
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by ichio1970 | 2007-05-15 21:42 | 1990