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ほら男爵の冒険

d0105153_1464974.jpg チェコアニメ界の大御所カレル・ゼマンの美しく摩訶不思議なおとぎ話。といってもお子様が見るような代物ではなく、ブッ飛んだ頭の中でつくられた濃厚なストレンジムービー。
 全編アニメと実写の合成映像で、これが舌を巻く素晴らしさ。色・構図・世界観、すべてにズバ抜けた美的センスがあり、観る者のイマジネーションをかき立たせる。
 
 この映画はおよそ50年前の作品ながら、昨今のCGなんて足下にも及ばない迫力と美しさ。リアルで情報量が多いだけじゃ人を魅了することはできないということを改めて知らされる。

 しかしながらストーリーはあってないような散らかりよう。はっきり言って出鱈目。でもこのことが逆にカレル・ゼマンの映像美を引き立てているようないないような…。テリー・ギリアムが惚れ込んだのも分かる。(彼は本作をベースにして、これまた狂った怪作『バロン』をつくってしまう)
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by ichio1970 | 2007-04-17 14:07 | 1960

髪結いの亭主

d0105153_1727459.jpg パトリス・ルコントが描く、オトコの理想郷。
 
 理容師のオッパイで性に目覚めた少年アントワーヌはそのまま中年男になり、髪結いの亭主になるという夢を叶える。しかも彼は一切働かず、店で美人の妻マチルドを見つめるだけ。しかもしかも客の目を盗んでS○Xまでしてしまう。マチルドもそんなグータラ亭主をとことん愛し、幸せな日々を過ごす。しかし、愛するあまり二人の生活は意外な結末をむかえることに。

 「かほり立つ、官能」、このキャッチコピーが『髪結いの亭主』の魅力をすべてを言い表している。ちょっとした視線、店内に響くハサミの音、髪を洗う仕草、そしてアントワーヌの変テコな踊りすべてから、蒸せ返るエロい匂いが漂ってくる。ジャン・コクトーは性器に触れずに射精することが出来たそうだが、この作品にも圧縮されたエロのイメージがすり込まれている。

 舞台は回想シーンを除いてほとんどお店のみ。この小さな空間がアントワーヌの頭の中(夢)であり、彼はいつまでもそこに住み続ける。
 こんなに奇妙で、エロくて、甘く、切ない映画はそうそうない。
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by ichio1970 | 2007-03-17 17:28 | 1990

犬神家の一族

d0105153_1919299.jpg ビザールな世界を語るうえで、やはり『犬神家の一族』は欠かせない。
 この作品には猟奇的殺人事件という設定を借りて、血の恐怖、スモールタウンの恐怖、森の恐怖など、さまざまな恐怖が盛り込まれている。そして、これらをおどろおどろしく描くのではなく、あくまで美しく、要所要所にスケキヨ、V字死体、岸田今日子など、こけおどし的な要素を織り込むことで唯一無二の世界をつくりあげている。
 また、戦後の混乱や親族間のドロドロした争い、屋敷の暗く冷え込んだ空気感と爽やかな那須の風景との対比がこの上ない効果をあげている。
 役者陣も主演の金田一役の石坂浩二から猿蔵役の寺田稔まで登場時間に関わらずそれぞれが素晴らしいインパクトを残している。

 物語としては、真犯人が自殺をするというとことん後味の悪い結果であるにも関わらず、見終わったあと不思議と青春映画を見たような爽やかな気分になるところがこの作品を凄いところ。
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by ichio1970 | 2007-03-09 19:19 | 1970

双生児-GEMINI-

d0105153_16261881.jpg 「都市と肉体」をテーマにした作品を撮り続ける塚本が繰り広げるジャポンゴシックホラー。原作は江戸川乱歩の『双生児〜ある死刑囚人が家庭教師にうちあけた話』。
 乱歩の作品を元にしているとはいえ、舞台となる日本家屋のドンヨリ淀んだ空気感とカオス渦巻く貧民窟の世界観は、『鉄男』を撮った塚本ならではのもの。
 明治大正時代を洒落た感覚で描く手法はよくあるが、そこに『ブレードランナー』のような汚れた都市像と丸尾末広のマンガに漂うようなデカダンス、そして塚本のルーツであるパンキッシュなテイストを織り込むことで斬新な空間をつくり上げている。
 また、どこかぎこちないセリフまわしとカメラワークが不気味な雰囲気を盛り上げる。主演のモッくんと りょうの怪演も見モノ。

 正反対の人生を歩んできた双子と、2人に蛇のようにまとわりつく女がむかえる結末が意外にハッピーエンドに思えてしまうところが、傑作の一歩手前という印象。
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by ichio1970 | 2007-02-23 16:26 | 1990

バートン・フィンク

d0105153_1305218.jpg 薄暗く長い廊下、ベロンとめくれる壁紙、映画のラッシュフイルム、燃え上がる安ホテル、すべてが地獄の入口に見えるコーエン兄弟の異色作。

 ニューヨークで注目されている新鋭の舞台作家バートン・フィンクは、ハリウッドからC級レスリング映画の脚本を依頼される。映画会社のオフィス、社長、ロスの蒸し暑さ、すべてに居心地の悪さを感じながらも、エージェントのすすめで仕方なく契約することに。依頼された映画は中身のないZ級の作品なのだが、これがどうしてなかなか書けない。悩めば悩むほどイメージが遠のいていく。そしてだんだんとタイプライターに挟み込まれた白紙や、ホテルの部屋の壁がフィンクを追いつめる。切羽詰まった彼は空想の世界へと逃げ込むようになり、現実と幻想の境目がなくなっていく…。

 この作品を観ていると、どこからどこまでが本当なのか分からなくなる。しかしこれは私たちの住む世界も同じこと。現実だと思っていることもファジーな機能を持つ脳を通しており、すべての出来事は脚色されたフィクションだといえる。
 そういう意味で『バートン・フィンク』は、一見幻想的でありながらリアルに人の頭の中を描いた作品。
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by ichio1970 | 2007-02-16 13:01 | 1980

ブルーベルベット

d0105153_1382351.jpg デヴィッド・リンチの変態ワールドが公のものとなった記念碑的作品。
 見所はカイル・マクラクランの白いオイドではなく、オープニング。
 青いカーテンの向こうには、懐かしいオールディーズをバックに揺れるチューリップや、にこやかに手を振る消防士など心和む景色が。でも、どこか変。何だろうと覗いてみると、そこにはグチョグチョ、レロレロな世界が大きな口を開けている。
 サバービアライフに潜む「魔」は、リンチのテーマ。ネオンの光によってあらわになる、日常と隣り合わせの闇の何と恐ろしくて美しいこと。
 
 そしてこの作品でもうひとつ重要なのは、デニス・ホッパー演じるフランクがハリウッドの映画人に、‘こんな訳の分からんヤバい輩を登場させてもいいんだ’と教えてしまったこと。
 「俺を見るな!」と殴りながらF◎◎Kする姿は確かにインパクトはあったが、個人的にはディーン・ストックウェルが演じる売春宿のママが「イン・ドリームス」を歌う姿の方がディープインパクト。彼がどんな人間で、どんな生活をしているのか、こっちの方もこっそり覗いてみたい。
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by ichio1970 | 2007-02-14 13:09 | 1980