タグ:CRIME ( 6 ) タグの人気記事

柳生一族の陰謀

d0105153_182560.jpg これ、傑作です。善と悪、生と死、愛と憎、真と偽など相反するものが渾然一体となって押し寄せるうねりは迫力満点。

 ストーリーは、徳川三代将軍の座を巡り、二代将軍秀忠の長男 家光を推す勢力と、次男 忠長を推す勢力との争いが表面化するところからはじまる。さらに幕府内の抗争に加え、幕府失墜のチャンスを狙う公家達も策略を練る。家光派(家光はこの映画では完全無欠のバカ殿)の柳生但馬守宗矩は、息子の十兵衛を使って策略を遂行する。しかし父親に利用されたことを知ったの十兵衛は…。

 う〜む、時代劇だからこそ描ける世界観、そして萬屋錦之介、千葉真一、松方弘樹、成田三樹夫、三船敏郎、金子信雄など大物・くせ者が集結したキャストは必見! こんな濃ゆい世界はそうそう見られません。
 萬屋センセの歌舞伎調のセリフまわしは正直‘どうなの?’という思いが過ぎらないわけではないが、これもセンセのスケールのデカさだと思って我慢すべし。(きっと深作監督、大変だったろうなぁ…)

 それと、千葉真一のカッコいいこと! 本作といい、『魔界転生』といい、ハマり過ぎ。柳生十兵衛はこの人以外は演じてはダメ。
 深作&チバシン コンビでもっと柳生十兵衛モノつくってほしかったなあ。
[PR]
by ichio1970 | 2008-10-15 18:02 | 1970

アメリカン・サイコ

d0105153_16292250.jpg ブレット・イーストン・エリスの同名小説の映画化。原作は、ねらいは分かるものの小説としての面白さにつながっておらず、ガッカリした覚えがある。
 それに比べこの作品は原作のエッセンスを残しつつ、まったく別物の作品としてつくり上げたところがクレバー。映画が原作を超えた珍しいケースといえる。
 
 主人公パトリック・ベイトマンは、若くして高級マンションに住み、ブランド品で身を包む会社役員。しかし、ホントのところは仕事など一切せず、同じような境遇のエグゼクティブと毎日遊びほうけているだけ。しかししかし、ホントのホントの彼の正体は身の毛もよだつ連続殺人者というお話。

 ジャンルとしてはサイコ・サスペンスになるんでしょうが、内容は完全にコメディ。80年代のバブル景気に浮かれていたヤッピーと、この映画がつくられた当時量産されていたサイコ物を茶化している。名刺バトルや、ヒューイ・ルイスのウンチクを披露しながら知り合いを殺すシーンはサイコではなくサイコー。メアリー・ハロンという監督、なかなかやります。
 美術も秀逸。キャラクターや世界観を登場人物に説明させるのではなく、彼らを取り巻く環境に語らせている。
 それと主人公を演じるクリスチャン・ベールが滅法うまい。役柄というよりも、この作品の意図を完璧に理解して演じているのがひしひしと伝わってくる。派手さはないけど、いい役者。
 
 すごく優れた作品ではあるものの、つくられたタイミングが若干ズレていた。もう少し早い時期につくられていたら、もっと評価されていたはず。
[PR]
by ichio1970 | 2007-10-15 16:30 | 2000

エレファント

d0105153_16433167.jpg 『グッド・ウィル・ハンティング』『小説家を見つけたら』で路線を変えて‘やっぱりアンタも…’とガッカリさせられ、『サイコ』のリメイクで完全に終わったと思っていたガス・ヴァン・サントが見事に復活した入魂の一作。

 舞台はアメリカのとある高校の、ある一日。ここに通う生徒たちはいつもと同じように登校する。そんな中、アレックスとその友人のエリックはネットで購入したショットガンを持って学校へと向かう。

 劇的なストーリー展開や演出を敢えて排し、事件が起こるまでの僅かな時間を淡々と描くことで、現代社会の日常に潜む狂気をあぶり出している。
 そして技術的にも、事件が起こるまでの生徒それぞれの時間を重ね合わせる構成や、カメラを視線化した擬似ドキュメンタリータッチなどが、この作品が90年代以降のものであることをはっきり と示している。
 演出と共にハリス・サヴィデスのカメラも光る。
[PR]
by ichio1970 | 2007-05-18 16:47 | 2000

スカーフェイス

d0105153_15541993.jpg デ・パルマ&ストーン&パチーノ トリオがつくり上げたギャング映画の傑作。
 『ゴッドファーザー』がギャングの世界を格調高く描いたA級品なのに比べ、こっちは徹頭徹尾ドロくさいB級路線。
 主人公も、『ゴッドファーザー』の見習い時代からクールだったマイケルに対して、トニー・モンタナはいつまでもチンピラテイストが抜けないカッペ野郎。とても同じ役者が感じているとは思えない。

 キューバから成功を夢見てアメリカにやって来たトニー・モンタナは、持ち前のガッツと行動力でメキメキ頭角を現す。調子づいた彼はボスを差し置き、コカインの元締めと直接取引をはじめる。しかし、自らもコカイン漬けとなり、次第に破滅の道へと進んでいく。

 (裏)サクセスストーリーをマッハスピードで見せる展開は普通ならスカスカに感じるはずなのに、そうなっていないのは登場人物それぞれのキャラが立っているから。だから、バイオレンスシーンもただのコケおどしにならずに凄みがある。
 ただ、ジョルジオ・モロダーの音楽とミシェル・ファイファーのダンスはショボくて、こっちまで気恥ずかしくなってしまう。
[PR]
by ichio1970 | 2007-05-01 15:54 | 1980

セブン

d0105153_2242461.jpg 『羊たちの沈黙』と共にサイコ・スリラーというジャンルをつくってしまった問題作。
 カイル・クーパーが手掛ける病的なオープニングを見るだけで、この映画がタダものではないことが伝わってくる。そして、そのインパクトはラストまで少しも衰えない。いやはや、見終わってこんなにグッタリする映画はそうはない。

 舞台はアメリカのとある地方都市。殺人課の新米刑事ミルズは就任してすぐに猟奇殺人事件を担当することになる。相棒は定年間近のベテラン刑事サマセット。彼らをあざ笑うかのように同一犯人による殺人は繰り返され、それがキリストの7つの大罪(大食・貪欲・怠惰・高慢・色欲・羨望・怒り)に基づいて行われていることが明らかになる。しかし犯人ジョン・ドゥは殺人計画を完成させる前になぜか自首してくる。果たして彼の思惑とは?!

 下手をすればC級映画になりそうな話を独特の雰囲気と緊迫感あふれる作品に仕上げたのは、間違いなくデヴィッド・フィンチャーの演出とダリウス・コンジのカメラ。
 脚本のオカルティックな要素とフィンチャーのテーマである‘信仰の闇’がうまく合わさったといえるだろう。
 また、コンジの描く、薄暗く、いつも雨が降っている都市像は『ブレードランナー』 meets 『エンゼル・ハート』といった趣。
『セブン』が公開されてもう10年以上経つが、この作品を超えるサイコ・スリラーは思い当たらない。
[PR]
by ichio1970 | 2007-03-29 22:42 | 1990

Uターン

d0105153_1892753.jpg オリバー・ストーンの最高作というだけでなく、クライムムービーの中でも屈指の傑作。

 借金まみれのろくでなしボビーが愛車ムスタングと共に迷い込んだのは、住民みんなが少しずつ狂っている砂漠の町スペリア。焼けつくような暑さと不条理な出来事の数々、迫り来る借金取りの恐怖で、ボビーだけでなく観てるこっちの頭もショート。イカれた自動車修理工とのやりとりは、本当にこっちまでスパナを振り下ろしたくなる。

 オリバー・ストーンは前作『ナチュラル・ボーン・キラーズ』で酷評を喰らったわざとらしい演出をグッと抑え、ノツコツと乾いたタッチでアメリカ大陸から滲み出す狂気を描きだしている。
 スペリアの住人はきっとどこへも抜け出せないスモールタウンの鬱屈だけでなく、砂漠に棲む地霊にも狂わされているのだろう。
 この作品といい、『悪魔のいけにえ』といい、アメリカ内陸部には別の世界があることを教えてくれる。
[PR]
by ichio1970 | 2007-02-14 18:10 | 1990