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未来世紀ブラジル

d0105153_16152049.jpg テリー・ギリアムの代表作というだけでなく、SF映画を代表する傑作。
 特にストーリーと美術はタメ息もので、テリー・ギリアムのあふれんばかりのイマジネーションを楽しめる。
 物語の前半はウィットに富んだセンスを散りばめながら軽快に進んでいくのだが、知らない間に悪夢的迷宮に迷い込んでいるという、怖い映画である。
 コーエン兄弟も『未来は今』で本作の前半部分のテイストとレトロなゴシック美術を借用(?)したが、あらゆる面でこちらの方が上。
 
 また、ジョナサン・プライス、ロバート・デ・ニーロ、イアン・ホルムといった役者陣も、嫌味な演技になる一歩手前の怪演で、それぞれいい味を出してる。さすが!
 
 この作品以降テリー・ギリアムのテンションは落ちる一方で、『ブラザーズ・グリム』を観たときは‘終わった’と思ったが、『ローズ・イン・タイドランド』で復調。あと1本でいいから『未来世紀ブラジル』クラスの作品をつくってほしい。
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by ichio1970 | 2007-08-17 16:16 | 1980

ほら男爵の冒険

d0105153_1464974.jpg チェコアニメ界の大御所カレル・ゼマンの美しく摩訶不思議なおとぎ話。といってもお子様が見るような代物ではなく、ブッ飛んだ頭の中でつくられた濃厚なストレンジムービー。
 全編アニメと実写の合成映像で、これが舌を巻く素晴らしさ。色・構図・世界観、すべてにズバ抜けた美的センスがあり、観る者のイマジネーションをかき立たせる。
 
 この映画はおよそ50年前の作品ながら、昨今のCGなんて足下にも及ばない迫力と美しさ。リアルで情報量が多いだけじゃ人を魅了することはできないということを改めて知らされる。

 しかしながらストーリーはあってないような散らかりよう。はっきり言って出鱈目。でもこのことが逆にカレル・ゼマンの映像美を引き立てているようないないような…。テリー・ギリアムが惚れ込んだのも分かる。(彼は本作をベースにして、これまた狂った怪作『バロン』をつくってしまう)
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by ichio1970 | 2007-04-17 14:07 | 1960

バットマン リターンズ

d0105153_220579.jpg ヒーロー物の名を借りたダークファンタジー。
 1作目『バットマン』でそれまでのバットマンのイメージを覆す、暗くジメジメした世界を描いたティム・バートンがやりたいことを思いっきり炸裂させた作品がこれ。本当は1作目でも本作で展開されたストレンジワールドを描きたかったようだが、映画会社に止められ本人はかなりのフラストレーションを感じたらしい。(あの中途半端な世界観は、それはそれで魅力的なのだが)
 そしてその後『シザーハンズ』を成功させたご褒美に、好きなように『バットマン』の続編を撮らせてもらったというのがことの次第。
 舞台となるゴッサムシティはさらに暗いパラレルワールドにヘンゲ。まるで広角レンズで撮ったようなグニャリと湾曲したセットがさらに悪夢に迷いこんだような気分にさせる。
 そしてストーリーも、ペンギン男、街の影の支配者シュレック、キャットウーマン、バットマンというそれぞれトラウマを抱えている登場人物が、各々の思惑で絡み合うという歪み具合。その中で正義のヒーローであるはずのバットマンと敵であるペンギン男の違いが紙一重であることがあぶり出される。
 こんな映画がメジャーの超大作として堂々とつくられるのだから、やはりハリウッド映画はバカにできない。
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by ichio1970 | 2007-03-04 22:09 | 1990

コレクター

d0105153_1910137.jpg モーガン・フリーマン主演の『コレクター』(原題:『キッス・ザ・ガール』)ではなく、ジョン・ファウルズの小説を映画化した方の『コレクター』。
 
 ストーリーは、孤独な銀行員フレディがギャンブルで儲けた大金で郊外の一軒家を買い、恋心を寄せていた女性を誘拐し、監禁するというお話。
 この作品が公開された時分は‘ありそうでない話’という感じだったのだろうが、今では日常茶飯事に起きていることだけに余計に怖い。

 この映画で最も強烈な印象を与えるのは、女性が監禁されている部屋。外界から遮断され、時間の概念もない空間はまさに魔界。しかし、妄想狂が自分の夢を実現させるためにつくり上げた小宇宙でもがく女性の姿は何とも美しい。このイメージはフレディの唯一の趣味である蝶の収集に重ねられ、詩的な美しささえ漂わせている。
 実はこの映画、『ローマの休日』を撮ったウィリアム・ワイラーの作品。甘いロマンスの名作をつくった監督が、一方で裏『ローマの休日』と呼びたくなるダークファンタジーを撮っていたとは、何ともドス黒いものを感じる。
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by ichio1970 | 2007-02-27 19:10 | 1960