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28日後…

d0105153_13472319.jpg ダニー・ボイルが挑戦したゾンビ映画。
 『トレインスポッティング』のせいでスタイリッシュな映画を撮る監督というイメージがつき、中途半端な作品を撮り続けていた彼だが、ゾンビというキッチュな素材を手にして本来のチカラを発揮した。
 この作品のエラいのは‘怖いゾンビ映画’を撮ろうとしているところ。当時のゾンビ映画は熱心なファンをターゲットにしたフェイクや安易なパロディに逃げている作品が多かったため、ゾンビが怖いことに新鮮さを感じるという珍現象が起こった。
 彼はゾンビを恐ろしくするために‘走るゾンビ’を登場させ往年のファンからブーイングを喰らったが、個人的には画期的な発明だと思う。(走るゾンビはその後リメイク版『ドーン・オブ・ザ・デッド』で極められる)

 また、この作品に登場する無人化したロンドンの造形が素晴らしい!退廃した大都市をマッドマックス的でもブレードランナー的でもない視点で描いたことはもっと評価されるべき。(同じく誰もいなくなったニューヨークを舞台にした『アイ・アム・レジェンド』がどのような都市像を描いているのか見てみたい)

 よく出来た作品だけれど、ゾンビの存在感がないのが残念。
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by ichio1970 | 2008-01-11 13:48 | 2000

ゾンビ

d0105153_19292171.jpg ゾンビ映画は数あれど、公開されて30年経つ今もキング・オブ・ゾンビムービーの座に輝きつづける名実共にバケモン映画。

 この作品はメディアなどで、消費社会の強烈な批判だと評価されているが、そんなことは二の次。確かにロメロ監督もそういう意識は持っていただろうが、もっと感覚的に撮っていたはず。だから観る方も余計なことは考えず、感覚的に観るのが正解。
 小難しい理屈は、多分インタビューなどで難しそうなことを言ったら受けが良く、繰り返し話していたら、どんどん広まってしまったのだろう。そのせいでロメロのゾンビ最新作『ランド・オブ・ザ・デッド』は、社会的なメッセージを入れなければという思いが強すぎて、すごく構図的なつくりになってしまっている。

 さて、この作品を特別なものにしているのは、生きのびた人間がショッピングモールに立てこもるという設定と、モールの間取りが観てるこっちにも分かる演出の巧みさだろう。
 誰もいない巨大なモールで暮らすというのは誰もが一度は夢想すること。だから、悲惨な状況を描いているにも関わらず、何だかワクワクする。閉鎖された空間ですべてが満たされ、ダラダラと過ごす時間の何と魅力的なこと!
 そして、モールのつくりが把握できるため、ゾンビや人間の動き一つひとつに意味と緊張感が出てくる。この面白味はリメイク版『ドーン・オブ・ザ・デッド』にはなかった。

 今観るとかなりユルいところもあるが、オリジナル ゾンビのヌタヌタ感をまったく色あせていない。
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by ichio1970 | 2007-04-04 19:29 | 1970

双生児-GEMINI-

d0105153_16261881.jpg 「都市と肉体」をテーマにした作品を撮り続ける塚本が繰り広げるジャポンゴシックホラー。原作は江戸川乱歩の『双生児〜ある死刑囚人が家庭教師にうちあけた話』。
 乱歩の作品を元にしているとはいえ、舞台となる日本家屋のドンヨリ淀んだ空気感とカオス渦巻く貧民窟の世界観は、『鉄男』を撮った塚本ならではのもの。
 明治大正時代を洒落た感覚で描く手法はよくあるが、そこに『ブレードランナー』のような汚れた都市像と丸尾末広のマンガに漂うようなデカダンス、そして塚本のルーツであるパンキッシュなテイストを織り込むことで斬新な空間をつくり上げている。
 また、どこかぎこちないセリフまわしとカメラワークが不気味な雰囲気を盛り上げる。主演のモッくんと りょうの怪演も見モノ。

 正反対の人生を歩んできた双子と、2人に蛇のようにまとわりつく女がむかえる結末が意外にハッピーエンドに思えてしまうところが、傑作の一歩手前という印象。
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by ichio1970 | 2007-02-23 16:26 | 1990

ノスフェラトゥ

d0105153_233431100.jpg ヴェルナー・ヘルツォーク & クラウス・キンスキーの変人コンビが唯一無ニのドラキュラ像をつくり上げたゴシックホラー。オリジナルは20年代にF.W.ムルナウによって撮られた『吸血鬼ノスフェラトゥ』。
 本編に行く前にまず、ポポル・ヴーによる不気味な曲をバックにミイラが映し出されるオープニングで異境の世界に連れて行かれる。何の説明もないこの映像だけで、ヨーロッパ深部に眠る呪われた歴史が呼び起こされるのがヒシヒシと伝わってくる。

 ドラキュラ伯爵は家を売りに遠路はるばるやって来たジョナサンの妻ルーシーを見て一目惚れ。彼はジョナサンの血を吸ったあと、ルーシーを求め城を出たため、ヨーロッパ全土にベストが大蔓延。そしてジョナサンは妻を守るために命からがら町に戻るが…。

 ここでのドラキュラは、ハマー映画が作り上げた‘黒マントの紳士ドラキュラ伯爵’とはほど遠い、病的で醜い初老の男。彼が寂れた古城に佇む姿、ペストで荒れ果てた町を彷徨う姿、イザベル・アジャーニ演じるルーシーを息を呑んで見つめる姿、どれもが不気味で哀しく、そして美しい。
 この静かで深みのある退廃美はヨーロッパ人でないと絶対に描けない。
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by ichio1970 | 2007-02-19 23:35 | 1970