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ゾディアック

d0105153_15454229.jpg 60年代後半から70年代にかけてアメリカで実際に起きた連続殺人事件 ゾディアック事件を描いた、デヴィッド・フィンチャーによるサスペンス映画。
 フィンチャーには『セブン』以来、傑作とお仕事モード作品(それでも大抵の映画よりおもしろい)を繰り返す‘フィンチャーの法則’というものがあり、順番からするとこの作品は傑作になるはずだったのだが結果は……やっぱり傑作だった!
 
 この作品がおもしろいのは、迷宮入りした犯人捜しをするミステリーではなく、事件に巻き込まれて壊れていく新聞記者・刑事・漫画家に焦点を当てているところ。謎解きの魔力に取り憑かれ、人生を狂わせていく様がじっくりみっちり描かれている。
 フィンチャーはあくまでも事実をベースにしながら、娯楽映画としてもおもしろい作品に仕上げている。確実に次のステージに上がりました。
 それとハリス・サヴィデスの撮影が素晴らしい。この人は『エレファント』でヤ透明感のある狂気ユと呼びたくなる映像美を描き出していたが、今作では一転70年代の作品のような ささくれ立ったテイストを表現している。フィンチャーと共に彼も今後の活動が楽しみ。
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by ichio1970 | 2007-12-08 15:46 | 2000

羊たちの沈黙

d0105153_15291222.jpg 90年代以降のサイコサスペンス・ブームの先駆けで、最高作の誉れ高い作品。
 また、「ハンニバル・レクター」という悪のヒーローを生み出した作品でもある。
 確かにクオリティは高いし、面白い内容だけれど、巷でいわれているほど完璧な映画とは思わない。
 いちばんのネックは、ストーリー本筋のゴールとなる殺人鬼 バッファロー・ビルのキャラが薄いこと。人を殺したうえに皮をはぎ、チ○コを後ろにまわして踊っているわりには恐ろしさが伝わってこない。このキャラに魅力がないと、いくらクラリスやレクターのキャラが立っていても、物語を引っぱるチカラが弱くなってしまう。
 それと、レクター先生はズバ抜けた頭脳の持ち主ということになっているが、これもピンとこない。単に情報を出し惜しみしているオッサンに見えちゃう。

 それでも、この作品が素晴らしいことには異議なしであります。
 まず、ジョディ・フォスターとアンソニー・ホプキンスの演技がよい。下手したらジェイソンみたいなモンスターになるレクターをイカれた人間として見ることができたのは、アンソニー・ホプキンスの演技力のおかげ。(瞳孔が開いたあの顔は怖すぎ!)
 そして、ジョディ・フォスターの演技がとんでもなく素晴らしい! 特に初めてレクターに会い、彼に過去を分析されるシーンはこの映画のクライマックスといえる。あれはレクターによる精神的レイプでしょ。

 『羊たちの沈黙』は、女性捜査官が主役という それまであまりなかった設定のせいか、ことある毎に女性に対する男の偏見や下心がクローズアップされている。クラリスは何回、視線や言葉で犯されたことか。
ジョディ・フォスターが『告発の行方』に出演した後で、この作品を選んだわけも何となく分かる。
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by ichio1970 | 2007-11-24 15:32 | 1990

アイズ・ワイド・シャット

d0105153_1759221.jpg  トム・クルーズ×ニコール・キッドマン夫妻(当時)が夫婦役で出演し、オールヌードでF○CKシーンまで披露した話題作。そして、スタンリー・キューブリックの遺作。
 巷の評価はイマイチなようだが、かなりの力作。いや傑作といっていい。

 金持ち相手にうまくやっている内科医ビルはある晩、妻から‘見知らぬ水兵さんに本気でF○CKされたいと思った’と告白され動揺する。
 F○CK!とばかりに夜の街を彷徨っているうちに、あれよあれよと大富豪が集う謎の仮面乱交パーティーに侵入することに…。

 この映画が凄いのは、人物描写でも、役者の演技でも、乱交パーティーの描写でもない。これらははっきりいってイマイチ。(でも、乱交パーティーのオープニング儀式は妙に印象に残ります)
 弛緩した時間感覚、これがこの作品を特別なものにしているすべて。設定ではほんの僅かな時間を描いただけなのに、ものすごく長い出来事を見せられているような気がし、さらに途中から映画を観はじめてどれくらい時間が経ったりか分からなくり、こっちまで謎の空間に迷い込んでしまった感覚に襲われる。

 で、最後はニコール・キッドマンの「F○CKしましょ♪」というセリフであっけなく終わる。
 これがキューブリックの意図によるものなのか、それともただ単にお歳でユルくなっていただけなのかは謎のまま。F○CK!
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by ichio1970 | 2007-08-10 17:59 | 1990

セブン

d0105153_2242461.jpg 『羊たちの沈黙』と共にサイコ・スリラーというジャンルをつくってしまった問題作。
 カイル・クーパーが手掛ける病的なオープニングを見るだけで、この映画がタダものではないことが伝わってくる。そして、そのインパクトはラストまで少しも衰えない。いやはや、見終わってこんなにグッタリする映画はそうはない。

 舞台はアメリカのとある地方都市。殺人課の新米刑事ミルズは就任してすぐに猟奇殺人事件を担当することになる。相棒は定年間近のベテラン刑事サマセット。彼らをあざ笑うかのように同一犯人による殺人は繰り返され、それがキリストの7つの大罪(大食・貪欲・怠惰・高慢・色欲・羨望・怒り)に基づいて行われていることが明らかになる。しかし犯人ジョン・ドゥは殺人計画を完成させる前になぜか自首してくる。果たして彼の思惑とは?!

 下手をすればC級映画になりそうな話を独特の雰囲気と緊迫感あふれる作品に仕上げたのは、間違いなくデヴィッド・フィンチャーの演出とダリウス・コンジのカメラ。
 脚本のオカルティックな要素とフィンチャーのテーマである‘信仰の闇’がうまく合わさったといえるだろう。
 また、コンジの描く、薄暗く、いつも雨が降っている都市像は『ブレードランナー』 meets 『エンゼル・ハート』といった趣。
『セブン』が公開されてもう10年以上経つが、この作品を超えるサイコ・スリラーは思い当たらない。
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by ichio1970 | 2007-03-29 22:42 | 1990

コレクター

d0105153_1910137.jpg モーガン・フリーマン主演の『コレクター』(原題:『キッス・ザ・ガール』)ではなく、ジョン・ファウルズの小説を映画化した方の『コレクター』。
 
 ストーリーは、孤独な銀行員フレディがギャンブルで儲けた大金で郊外の一軒家を買い、恋心を寄せていた女性を誘拐し、監禁するというお話。
 この作品が公開された時分は‘ありそうでない話’という感じだったのだろうが、今では日常茶飯事に起きていることだけに余計に怖い。

 この映画で最も強烈な印象を与えるのは、女性が監禁されている部屋。外界から遮断され、時間の概念もない空間はまさに魔界。しかし、妄想狂が自分の夢を実現させるためにつくり上げた小宇宙でもがく女性の姿は何とも美しい。このイメージはフレディの唯一の趣味である蝶の収集に重ねられ、詩的な美しささえ漂わせている。
 実はこの映画、『ローマの休日』を撮ったウィリアム・ワイラーの作品。甘いロマンスの名作をつくった監督が、一方で裏『ローマの休日』と呼びたくなるダークファンタジーを撮っていたとは、何ともドス黒いものを感じる。
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by ichio1970 | 2007-02-27 19:10 | 1960