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デス・プルーフ IN グラインドハウス

d0105153_21515282.jpg 映画として優れているのかどうか、おもしろいのかどうか正直判断つかないが、作中の世界に‘異様な熱’を感じることのできる久々のタランティーノ印作品。
 『パルプ・フィクション』以降どうも乗り切れい作品がつづき、『レザボア・ドッグス』と『パルプ・フィクション』がたまたまだったんじゃないの?という気がしないでもなかっただけに嬉しい誤算。
 今作はカート・ラッセル扮する世界一情けないサイコキラー‘スタント・マイク’を筆頭に魅力あるキャラクターが登場するほか、まったく意味のないバカトークも満載で、ここのところうっとうしくなっていたタランティーノの映画オタクぶりが味つけにおさまっているところがいい。
 ファンの間ではガールズトークの評価が高かったりするが、個人的にはそれ自体におもしろさはあまり感じない。それよりも、そんなアホな会話をしている裏でストーリーが進んでいることにおかしさを感じる。要するにドリフのコントで‘志村、うしろうしろ!’と叫ぶあの心境。『キル・ビル』にはこのトンマさが欠けていた。
 前半と後半で作品のテイストがコロッと変わってしまうところもナイス。前半丸ごと使ったネタふりが後半活きている。これだけ思いきったことのできるタランティーノって、やっぱり凄い。
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by ichio1970 | 2008-04-03 21:52 | 2000

アメリカン・サイコ

d0105153_16292250.jpg ブレット・イーストン・エリスの同名小説の映画化。原作は、ねらいは分かるものの小説としての面白さにつながっておらず、ガッカリした覚えがある。
 それに比べこの作品は原作のエッセンスを残しつつ、まったく別物の作品としてつくり上げたところがクレバー。映画が原作を超えた珍しいケースといえる。
 
 主人公パトリック・ベイトマンは、若くして高級マンションに住み、ブランド品で身を包む会社役員。しかし、ホントのところは仕事など一切せず、同じような境遇のエグゼクティブと毎日遊びほうけているだけ。しかししかし、ホントのホントの彼の正体は身の毛もよだつ連続殺人者というお話。

 ジャンルとしてはサイコ・サスペンスになるんでしょうが、内容は完全にコメディ。80年代のバブル景気に浮かれていたヤッピーと、この映画がつくられた当時量産されていたサイコ物を茶化している。名刺バトルや、ヒューイ・ルイスのウンチクを披露しながら知り合いを殺すシーンはサイコではなくサイコー。メアリー・ハロンという監督、なかなかやります。
 美術も秀逸。キャラクターや世界観を登場人物に説明させるのではなく、彼らを取り巻く環境に語らせている。
 それと主人公を演じるクリスチャン・ベールが滅法うまい。役柄というよりも、この作品の意図を完璧に理解して演じているのがひしひしと伝わってくる。派手さはないけど、いい役者。
 
 すごく優れた作品ではあるものの、つくられたタイミングが若干ズレていた。もう少し早い時期につくられていたら、もっと評価されていたはず。
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by ichio1970 | 2007-10-15 16:30 | 2000

地獄の黙示録

d0105153_1759556.jpg 完全に壊れた映画。戦争の狂気ではなく、この映画に携わった人たちの狂気がフィルムに刷り込まれたスペクタクル巨編。
 ジョン・ミリアスによる脚本の初稿は、ジャングルで帝国を作り上げたカーツ大佐をウィラード大尉がドンパチの末退治してめでたしめでたしという、戦争バンザイな冒険活劇だった。それに何か意味深なテイストを出してみたいと思ったのがコッポラの悲劇のはじまり。
 相次ぐキャストの変更。決まったキャストはみんなヘベレケ状態。(マーチン・シーンは過酷な環境のせいで心臓発作であわやあっちの世界へ。デニス・ホッパーはドラッグであっちの世界へ逃避行。マーロン・ブランドはみんながアッと驚く肥満ぶりを披露したと思ったら、脚本を無視して意味不明な言葉であっちの世界と交信)
 さらに相次ぐトラブル、決まらないストーリー、予算オーバー、映画会社からのプレッシャーなどにより、コッポラ自身がオーバーヒート。そして、「私が死んだらミリアスが、ミリアスが死んだらルーカスがこの作品を完成させなければならない」という有名なセリフを吐く。その意気込みには拍手をおくりたいが、言われた人は迷惑極まりない。

 この作品の魅力はストーリーでも戦闘シーンでもなく、小型ボートで川を遡りつづけ、次第にグニャグニャと歪みはじめる時間感覚。そして奇妙なエピソードやキャラクターが花を添え、ここがどこで、いつから映画を観ているのか分からなくなる。(作品のつくりもドアーズの「ジ・エンド」からはじまり、タイトル表示で終わるという歪みっぷり)
 これは作品はコッポラのいい加減さと脳天気さが生んだ偶然の傑作。
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by ichio1970 | 2007-07-06 17:58 | 1970

エレファント

d0105153_16433167.jpg 『グッド・ウィル・ハンティング』『小説家を見つけたら』で路線を変えて‘やっぱりアンタも…’とガッカリさせられ、『サイコ』のリメイクで完全に終わったと思っていたガス・ヴァン・サントが見事に復活した入魂の一作。

 舞台はアメリカのとある高校の、ある一日。ここに通う生徒たちはいつもと同じように登校する。そんな中、アレックスとその友人のエリックはネットで購入したショットガンを持って学校へと向かう。

 劇的なストーリー展開や演出を敢えて排し、事件が起こるまでの僅かな時間を淡々と描くことで、現代社会の日常に潜む狂気をあぶり出している。
 そして技術的にも、事件が起こるまでの生徒それぞれの時間を重ね合わせる構成や、カメラを視線化した擬似ドキュメンタリータッチなどが、この作品が90年代以降のものであることをはっきり と示している。
 演出と共にハリス・サヴィデスのカメラも光る。
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by ichio1970 | 2007-05-18 16:47 | 2000

スカーフェイス

d0105153_15541993.jpg デ・パルマ&ストーン&パチーノ トリオがつくり上げたギャング映画の傑作。
 『ゴッドファーザー』がギャングの世界を格調高く描いたA級品なのに比べ、こっちは徹頭徹尾ドロくさいB級路線。
 主人公も、『ゴッドファーザー』の見習い時代からクールだったマイケルに対して、トニー・モンタナはいつまでもチンピラテイストが抜けないカッペ野郎。とても同じ役者が感じているとは思えない。

 キューバから成功を夢見てアメリカにやって来たトニー・モンタナは、持ち前のガッツと行動力でメキメキ頭角を現す。調子づいた彼はボスを差し置き、コカインの元締めと直接取引をはじめる。しかし、自らもコカイン漬けとなり、次第に破滅の道へと進んでいく。

 (裏)サクセスストーリーをマッハスピードで見せる展開は普通ならスカスカに感じるはずなのに、そうなっていないのは登場人物それぞれのキャラが立っているから。だから、バイオレンスシーンもただのコケおどしにならずに凄みがある。
 ただ、ジョルジオ・モロダーの音楽とミシェル・ファイファーのダンスはショボくて、こっちまで気恥ずかしくなってしまう。
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by ichio1970 | 2007-05-01 15:54 | 1980

マッドマックス2

d0105153_157475.jpg 80年代、『ブレードランナー』と並んで近未来のイメージを植えつけた作品。
 『ブレードランナー』はアジアンゴシックと呼びたくなるスラム街、そして『マッドマックス2』はパンクファッションに身を包んだ悪党が徘徊する荒野が舞台。
 この時期の近未来を描いたSF映画は、ほとんどがどちらかの亜流になっていたくらい圧倒的な世界が表現されている。どちらも光り輝く明るい未来ではなく、汚く、秩序の崩壊したカオスが描かれたのは偶然ではなく、当時の社会情勢や人びとの不安感が滲み出てきたもの。
 こんな時代にとことん浮かれてバブルに突入していった日本は、外国から見れば完全にイカれた国だったに違いない。
 
 本作はビジュアル面では他を寄せつけない圧倒的なクオリティを誇っているが、ストーリー・人物描写はかなりいい加減。しかしマッドマックス シリーズは、マックスがV8インターセプターを乗り回し、ショットガンをブッ放してくれればそれでOK。
 と思ったら、インターセプターは早々に破壊され、ショットガンもほとんど不発。実はこの作品、かなり身もだえする寸止め映画である。
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by ichio1970 | 2007-02-21 15:08 | 1980

Uターン

d0105153_1892753.jpg オリバー・ストーンの最高作というだけでなく、クライムムービーの中でも屈指の傑作。

 借金まみれのろくでなしボビーが愛車ムスタングと共に迷い込んだのは、住民みんなが少しずつ狂っている砂漠の町スペリア。焼けつくような暑さと不条理な出来事の数々、迫り来る借金取りの恐怖で、ボビーだけでなく観てるこっちの頭もショート。イカれた自動車修理工とのやりとりは、本当にこっちまでスパナを振り下ろしたくなる。

 オリバー・ストーンは前作『ナチュラル・ボーン・キラーズ』で酷評を喰らったわざとらしい演出をグッと抑え、ノツコツと乾いたタッチでアメリカ大陸から滲み出す狂気を描きだしている。
 スペリアの住人はきっとどこへも抜け出せないスモールタウンの鬱屈だけでなく、砂漠に棲む地霊にも狂わされているのだろう。
 この作品といい、『悪魔のいけにえ』といい、アメリカ内陸部には別の世界があることを教えてくれる。
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by ichio1970 | 2007-02-14 18:10 | 1990

ブルーベルベット

d0105153_1382351.jpg デヴィッド・リンチの変態ワールドが公のものとなった記念碑的作品。
 見所はカイル・マクラクランの白いオイドではなく、オープニング。
 青いカーテンの向こうには、懐かしいオールディーズをバックに揺れるチューリップや、にこやかに手を振る消防士など心和む景色が。でも、どこか変。何だろうと覗いてみると、そこにはグチョグチョ、レロレロな世界が大きな口を開けている。
 サバービアライフに潜む「魔」は、リンチのテーマ。ネオンの光によってあらわになる、日常と隣り合わせの闇の何と恐ろしくて美しいこと。
 
 そしてこの作品でもうひとつ重要なのは、デニス・ホッパー演じるフランクがハリウッドの映画人に、‘こんな訳の分からんヤバい輩を登場させてもいいんだ’と教えてしまったこと。
 「俺を見るな!」と殴りながらF◎◎Kする姿は確かにインパクトはあったが、個人的にはディーン・ストックウェルが演じる売春宿のママが「イン・ドリームス」を歌う姿の方がディープインパクト。彼がどんな人間で、どんな生活をしているのか、こっちの方もこっそり覗いてみたい。
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by ichio1970 | 2007-02-14 13:09 | 1980